私が防音設計・施工の業界に入ったのは、市販品の遮音シートや鉛遮音パネルの防音効果が無かったという経験が出発点になっています。
鉛のパネルをGL工法の壁、二重天井に施工した専門業者の防音工事が全く役に立たなく、通販サイトで購入した遮音シートも全く防音効果が体感できずに驚きました。これは平成8年から平成18年ころまでの話ですが、現在も同じ製品が販売されています。
後に、自力で防音設計などを勉強した結果、製品の性能不足と工法の問題が理解出来、反面教師として貴重な教訓となりました。上記の製品の共通した問題は、制振性の欠如でした。
制振能力の乏しい遮音材は弱点が多く、安定した防音効果は発揮できないことを学びました。この経験が、私の音響・防音設計業務に生かされています。また、鉛は音を吸収しないため反射音がきつくなるだけでなく、石膏ボードなどコインシデンスの弱点を全く改善できない素材であることが明らかになりました。質量則の限界を露呈した事実です。
防音対策には「遮音」「制振」「吸音」の機能が必要です。面密度が大きいだけの遮音材にシフトした設計は無謀です。逆に面密度の小さな設計や製品選択も問題です。
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